2024年7月30日(火)~9月29日(日)の期間に展示しております作品をご紹介します。
十五代坂倉新兵衛 じゅうごだい さかくらしんべえ
《萩灰被花器【はぎはいかぶりかき】》 2012年
高さ 30.0㎝ 径 30.0×20.0㎝
十五代坂倉新兵衛(1949-)は、山口県生まれ。1972年に東京藝術大学大学院陶芸専攻を修了。1978年に十五代坂倉新兵衛を襲名。1979年に日本工芸会山口支部新作展でNHK賞を受賞。1989年には山口県芸術文化振興奨励賞を受賞します。2013年、山口県指定無形文化財「萩焼」の保持者に認定。2019年には旭日双光章を受章します。
本作品は、萩焼らしい土味【つちあじ】や釉調【ゆうちょう】と絵付【えつけ】が見所です。土の質感が表れた器面には、ペインティングナイフで絵具の代わりとなる色土を重ねる手法により百合【ゆり】を表現しています。その周りにかかる白濁【はくだく】した萩焼伝統の藁灰釉【わらばいゆう】は、土味と絵付を調和しながら凛【りん】とした植物の姿を引き立てています。また、下部には焼成【しょうせい】時に窯の床面にたまった灰を被【かぶ】り、深い茶色は植物の生命を支える土地を想起【そうき】させるようです。萩焼は古来、ほとんど絵付を行わないやきものですが、土の質感を大切にした描写は、新しい手法を用いながらも伝統を重んじる作者の制作姿勢が垣間【かいま】見えます。
〔お問い合わせ先:山口県立萩美術館・浦上記念館 TEL0838-24-2400〕