平成28年10月25日(火)~12月25日(日)の期間に展示しております作品をご紹介します。
岡田裕 おかだゆう
《炎彩花器【えんさいかき】》 2010年
高さ13.4×幅44.0×奥行44.0cm
岡田裕(1946年生まれ)は、明治初期創業の晴雲山岡田窯【せいうんざんおかだがま】七代仙舟【せんしゅう】の長男として萩市前小畑【まえおばた】に生まれました。1968年に慶応義塾大学を卒業して、東京・丸の内の水産会社で4年間の勤務した後、帰郷して作陶生活に入りました。以来、日本工芸会正会員として日本伝統工芸展を中心に発表活動を続け、2006年には山口県指定無形文化財萩焼保持者に認定されました。萩焼伝統の白萩釉【しらはぎゆう】を薄紫色に変化させた窯変【ようへん】や、萩焼固有の土と釉薬の特性を活かした炎彩技法を追求し、内面描写的な造形表現を作陶に取り込む意欲的な制作を続けています。この鉢形の内外面には、温かみのある土の質感をまとった彩りが揺らめくように施されています。これは萩焼の原土を精製した微細な化粧土によるもので、作家自らが〈炎彩〉と呼ぶ意匠表現です。にじむように重なり合うこの模様は、窯中に燃えさかるやわらかな火先【ほさき】のようでもあり、また心中の奥深くに点【とも】された妖しい情念の淡い発色の拡がりのように見えます。
≪お問合せ先:山口県立萩美術館・浦上記念館 TEL 0838-24-2400≫