お知らせ

【展示情報】山口県立萩美術館・浦上記念館すぽっと展示in空港ロビーの展示替えをおこないました。(2020年09月29日)

2020年9月29日(火)~11月29日(日)の期間に展示しております作品をご紹介します。

野坂康起 のさかこうき
《萩鉄灰被線文鉢【はぎてつはいかぶりせんもんはち】》 1989年
高さ14.2cm 口径46.9㎝

野坂康起(1931~)は三重県浜島町(現・三重県志摩市)に生まれ、三重県窯業試験場や荒川豊蔵への師事を経て、1958年に山口県萩市にある野坂江月窯の婿養子となり、以降萩での作陶を続けました。2002年3月には、山口県指定無形文化財に指定されています。鉄灰釉は、野坂が作陶生涯を通して追い求めた伊羅保釉【いらぼゆう】(褐色・あるいは茶褐色)の発展形です。萩で作陶を始める以前から試行錯誤を繰り返した表現は、この頃には一種の高みへと到達し、大型の器に満遍なく均一に溶けた釉薬の色合いは、どこか柔らかさすら感じさせます。器の造形は過不足なく明瞭な形に整えられ、施された線彫りも器を阻害せず、絶妙に調和しています。本作品と同年には、同じく鉄灰釉を用いた平鉢が第12回伝統工芸新作展で日本工芸会山口支部長賞を受賞するなど、野坂の伊羅保釉・鉄灰釉は大変高く評価されています。

〔お問い合わせ先:山口県立萩美術館・浦上記念館 TEL0838-24-2400〕