2019年5月28日(火)~7月28日(日)の期間に展示しております作品をご紹介します。
加藤清和 かとうきよかず
《三彩【さんさい】1702》2017年
高17.7㎝ 口径45.0 cm
加藤清和は1970年京都府五条に生まれ、京都府立陶工高等技術専門学校陶磁器成形科を卒業後、川瀬満之【かわせみつゆき】、父である加藤靖山【せいざん】(昭三【しょうぞう】)らに師事。化学メーカーに数年間勤務していたこともあり、その経験が陶芸活動に大きく活かされています。
氏の代表作で自身の化学知識の粋【すい】とも言うべき三彩は、唐三彩【とうさんさい】や奈良三彩【ならさんさい】などの古代の三彩を再現することを切っ掛けとしており、胎土【たいど】・釉薬【ゆうやく】ともに創意工夫に満ちています。胎土は4~5種類の土をブレンド(2割ほど磁土が含まれる)し、ロクロ成形による鋭い造形と、クリーム色の柔らかな質感を表現しています。塗り分けられた鮮やかな緑釉にも、融点【ゆうてん】の異なる数種類が使用され、釉【うわぐすり】の流れによって規則性の中に偶然性が生まれています。
1200℃前後の高温で焼成され、造形、胎土、釉薬が組み合わさることで、柔らかさと緊張感が同じ器の中に共存した「ふわっ、ぴりっ」とした本作は、古代に作られた三彩を再現するに留【とど】まらず、現代の技術を存分に用いて更なる高みへと導いています。
[お問合わせ先:山口県立萩美術館・浦上記念館 TEL0838‐24‐2400]